今回は、自炊におすすめのスキャナーの選び方とおすすめモデルを5つご紹介します。
自炊とは?
「自炊」と言っても料理のことではありません。
「自炊」とは、紙の本を電子的な形式に変換することを指します。具体的には、スキャナーを使って、本のページを画像として取り込み、その画像をPDFなどのファイルに変換することを指します。
今ではあらかじめ電子化された書籍が多数出版されていますが、かつては紙の本を自らスキャナーで読み込んで電子化していました。自分で本を電子化することが、自分で調理することに似ているということから「自炊」という用語が使われるようになりました。
本の自炊を行うことで、本をデジタルで管理することができ、スペースの節約や携帯性の向上などのメリットがあります。また、古い本や希少書など、市販の電子書籍化されていない本を自分で電子化することができるというメリットもあります。
スキャナー選びのポイント
スキャナー選びのポイントをご説明します。
光学解像度
スキャナーの解像度は、スキャナーが読み取った画像の詳細さや鮮明さを決定する重要な要素の一つです。
解像度は、dpi(dots per inch、1インチあたりのピクセル数)またはppi(pixels per inch、1インチあたりのドット数)で表されます。
スキャナーの解像度が高いほど、読み取った画像の詳細な部分まで正確に捉えることができ、より鮮明で詳細な画像が得られます。
光学解像度とは、スキャナー自体の物理的な解像度のことであり、スキャナーが1インチあたりに読み取ることができる最大ピクセル数のことです。
スキャナーの光学解像度が高いほど、より詳細で鮮明な画像を得ることができます。
ADF
ADFとは、Automatic Document Feeder(自動原稿送り装置)の略称です。
自動的に複数のページをスキャンすることができる機能のことを指します。
次のメリットがあります。
時間の短縮
ADF搭載のスキャナーは、複数の文書を一度にスキャンできるため、時間を節約できます。
手動で文書を取り替える必要がないため、一度に大量の文書をスキャンすることができます。
作業の効率化
ADF搭載のスキャナーは、手動で文書を取り替える必要がないため、作業の効率が上がります。
大量の文書をスキャンする場合、手動でスキャンすると疲れるため、作業の効率を上げることができます。
記録の正確性
ADF搭載のスキャナーは、手動で文書を取り替える必要がないため、スキャン時のミスが少なくなります。
手動で文書を取り替える場合、文書を逆さまにしたり、漏れがある可能性があります。
ADF搭載のスキャナーは、一度に複数の文書をスキャンできるため、漏れやミスが少なくなり、正確な記録が取れます。
なお、必ずしもADF搭載のスキャナーを選ばなければならないということはありません。
読み取りタイプ
今のスキャナーには大きく3つの読み取りタイプがあります。
シートフィードスキャナー
シートフィードスキャナーは、ADFを使って紙媒体の文書や写真を自動的に送り込む方式です。
紙の束を一度に送り込んでスキャンできるため、一度に多くの文書をスキャンできるという利点があります。
ただし、書類の種類や厚みによっては、スキャン時に引っかかったり、読み取りが不完全になることがあります。
フラットベッドスキャナー
フラットベッドスキャナーは、スキャン対象物をスキャナーのフラットなガラス面に直接置いてスキャンする方式です。
オフィスやコンビニにあるコピー機をイメージすると分かりやすいかもしれません。
主に紙媒体の文書や写真をスキャンするのに適しており、ハイクオリティなスキャンが可能です。
また、書類の重厚感や厚みによっても影響を受けにくいという特徴があります。
ただし、スキャン対象物を一枚一枚手動で置いてスキャンするため、大量の文書をスキャンする場合には時間がかかることが欠点です。
オーバーヘッドスキャナー
オーバーヘッドスキャナーは、カメラやスキャナーを上方に取り付けて、書類や三次元オブジェクトなどを下に向かって照射してスキャンする方式です。
主に立体物や大型の書類、地図などをスキャンするのに適しています。
また、書類のページを広げて左右両面を一度にスキャンすることもできるため、効率的にスキャン作業を行うことができます。
ただし、ハイクオリティなスキャンが難しいため、細かい文字などの読み取りには向いていません。
OCR機能
OCRとは、Optical Character Recognition(光学式文字認識)の略称です。
スキャンした画像データから文字を自動的に認識して、テキストデータに変換する技術のことです。
OCRを利用することで、印刷された書類や手書きのメモなどを、テキストデータとして簡単にコンピューター上に保存することができます。
OCRを使うと、大量の文書をスキャンして、そのテキストデータを検索可能にすることができます。
両面読み取り
スキャナーの両面読み取り機能はその言葉通り、一度にドキュメントの表と裏を読み取る機能のことです。
書類を両面読み取りできるため、片面だけを読み取る場合と比べて、読み取り時間を半分に短縮することができます。
特に大量の書類をスキャンする場合には、時間と労力を大幅に節約できます。
また、書類をスキャンした後、片面だけのデータを取り出して、もう片方の面を読み取る、といった手間を省くことができます。
そのため、スキャン後のデータ管理作業の効率を向上させることができます。
原稿サイズ
スキャナーを選ぶ際に原稿サイズを確認するのは非常に重要です。
当たり前の話ですが、例えば、A4サイズまでしかスキャンできないスキャナーでA3サイズの原稿をスキャンしようとすると、部分的にしかスキャンできず、必要な情報が欠落してしまう可能性があります。
また、逆にA4サイズの原稿しか扱わない場合には、大型のスキャナーを選ぶ必要はありません。
中には名刺などの小さなサイズの読み取りにも対応しているものがあります。
おすすめモデル5選
自炊におすすめのモデルを5つご紹介します。
ScanSnap iX1600
製品名 | ScanSnap iX1600 |
特徴 | 人気No.1 |
発売日 | 2022年2月 |
光学解像度 | 600 dpi |
ADF | 〇 |
読み取りタイプ | シートフィード |
OCR機能 | 〇 |
両面読み取り | 〇 |
原稿サイズ | A4/はがき/名刺/レシート |
最大セット可能枚数 | 50 |
その他 | スキャン方法は1つだけ |
ScanSnap iX1600の特徴は以下の通りです。
高速で効率的なスキャン機能
最大で毎分40ページのスキャンが可能です。
書類を読み取るセンサーを2つ搭載していますので、書類の表面と裏面とを同時に読み取ることができます。
また、最大600dpiの光学解像度がありますので、非常に小さな文字がある文書やカラー文書を精細にスキャンすることができます。
多様なファイル形式に対応
PDF、JPEG、Microsoft Word、Excel、PowerPointなど、多様なファイル形式に対応しています。
さらに、OCR機能を搭載しており、PDFやWord形式などのテキストデータを検索可能な形式に変換できます。
クラウドサービスへの直接アップロード
直接クラウドサービスにスキャンデータをアップロードすることができます。
Dropbox、Google Drive、OneDrive、Evernoteなどの主要なクラウドサービスに対応しています。
ScanSnap iX1600は、高品質なスキャンを効率よく行えるという点で総合評価が高い製品です。
スキャナーの売れ筋ランキングでは常に上位にランキングされます。
ScanSnap iX1600がおすすめな人
高速で高品質なスキャンが可能なため、大量の書類や本を自炊したい人に向いていると言えます。
また、自炊した後はその書類や本を処分してしまい、部屋のスペースを減らしたいという人にもおすすめです。
メルカリなどでは裁断済みのコミックが流通していますので、それらを購入してスキャンした後、また転売したいというかたにもおすすめです。
ScanSnap iX1300
製品名 | ScanSnap iX1300 |
特徴 | 基本性能がしっかり |
発売日 | 2022年2月 |
光学解像度 | 600 dpi |
ADF | 〇 |
読み取りタイプ | シートフィード |
OCR機能 | 〇 |
両面読み取り | 〇 |
原稿サイズ | A4/はがき/名刺/レシート |
最大セット可能枚数 | 20 |
その他 | 2つのスキャン方法から選べる |
ScanSnap iX1300は、先ほどご紹介のScanSnap iX1600の廉価版と言えば分かりやすいかもしれません。
ただし、廉価版とは言っても性能は充実しています。
特徴は以下の通りです。
高速かつ高精細スキャン
1分あたり30ページの高速スキャンが可能です。
書類を読み取るセンサーを2つ搭載していますので、書類の表面と裏面とを同時に読み取ることができます。
また、最大600dpiの光学解像度がありますので、非常に小さな文字がある文書やカラー文書を精細にスキャンすることができます。
多様なファイル形式に対応
PDF、JPEG、Microsoft Word、Excel、PowerPointなど、多様なファイル形式に対応しています。
さらに、OCR機能を搭載しており、PDFやWord形式などのテキストデータを検索可能な形式に変換できます。
クラウドサービスへの直接アップロード
直接クラウドサービスにスキャンデータをアップロードすることができます。
Dropbox、Google Drive、OneDrive、Evernoteなどの主要なクラウドサービスに対応しています。
ScanSnap iX1300は、ScanSnap iX1600に比べて性能面でやや劣るものの、その分価格はリーズナブルです。
ScanSnap iX1600に負けない人気があり、売れ筋ランキングでも常に上位にランキングされています。
ScanSnap iX1300がおすすめな人
高速で高品質なスキャンが可能なため、大量の書類や本を自炊したい人に向いていると言えます。
また、自炊した後はその書類や本を処分してしまい、部屋のスペースを減らしたいという人にもおすすめです。
メルカリなどでは裁断済みのコミックが流通していますので、それらを購入してスキャンした後、また転売したいというかたにもおすすめです。
また、ScanSnap iX1600に比べて価格が安いですのでリーズナブルに自炊を始めたい方にもおすすめです。
ScanSnap iX1600とScanSnap iX1300の主な性能の差異はこちらです。
スキャン速度
ScanSnap iX1600は、1分あたり40ページの高速スキャンが可能です。
ScanSnap iX1300は、1分あたり30ページの高速スキャンが可能です。
最大セット可能枚数
ScanSnap iX1600は、最大で50枚の紙のセットが可能です。
ScanSnap iX1300は、最大で20枚の紙のセットが可能です。
読み取り方式
ScanSnap iX1600は、書類をADFにセットして読み取らせる方法のみに対応しています。
メーカーの説明動画はこちらです。
ScanSnap iX1300には、「Uターンスキャン」と「リターンスキャン」の2つのスキャン方法があります。
具体的にはこちらをご覧ください。(メーカーの説明動画です。)
なお、ScanSnap iX1600とScanSnap iX1300には利用上の注意点があります。
それは裁断が必要な場合があるということです。
ScanSnap iX1600とScanSnap iX1300はともに読み取りタイプはシートフィードです。
一枚一枚の紙をADFを通じてスライドさせてスキャンさせるため、漫画や雑誌などをスキャンする場合には裁断が必要になります。
私が使っている裁断機はこちらです。
裁断のコツを含めた自炊の方法についてはこちらをご覧ください。
エプソン GT-X830
製品名 | エプソン GT-X830 |
特徴 | 解像度最強! |
発売日 | 2014年10月 9日 |
光学解像度 | 6400 dpi |
ADF | × |
読み取りタイプ | フラットベッド |
OCR機能 | 〇 |
両面読み取り | × |
原稿サイズ | A4 |
最大セット可能枚数 | – |
その他 | フィルムスキャンに最適 |
エプソン GT-X830の特徴は以下の通りです。
光学解像度
最大6400dpiの光学解像度が最大の魅力です。
多様な文書タイプに対応
カラー写真、ネガフィルム、プリント、書類など、さまざまな種類の文書に対応しています。
自動補正機能
自動画像補正機能により、色補正、明るさ調整、ノイズ除去などを自動的に行い、高品質なスキャンを実現します。
いいとこころばかりではなく注意点もあります。
本製品はフラットベッドスキャナーですので、大量のページをスキャンする場合には、時間と手間がかかることがあります。
また、両面スキャンには対応していないため、表と裏をスキャンする必要がある場合には手作業が必要です。
エプソン GT-X830がおすすめな方
他の多くの製品にはない、フィルムのスキャン機能がありますのでフィルムのスキャンをしたい方には有力な選択肢となります。
また、光学解像度が非常に高いですので、とにかく精細に書類をデータ保存したい方にもおすすめです。
シートフィードタイプのスキャナーですと書類によっては裁断が必要ですが、フラットベッドスキャナーは裁断の必要はありませんので、紙の書類や本などをそのままの形で残したい方にもおすすめです。
CANOSCAN LIDE 400
製品名 | CANOSCAN LIDE 400 |
特徴 | 高解像度かつリーズナブル! |
発売日 | 2018年 9月 6日 |
光学解像度 | 4800 dpi |
ADF | × |
読み取りタイプ | フラットベッド |
OCR機能 | 〇 |
両面読み取り | × |
原稿サイズ | A4 |
最大セット可能枚数 | – |
その他 | 1.7kgなので持ち運び可能 |
CANOSCAN LIDE 400の特徴は以下の通りです。
薄型コンパクトなデザイン
厚さ約40mm、重さ約1.7kgと薄型コンパクトなデザインが特徴です。
置き場所を選ばずに設置でき、手軽に使用することができます。
高解像度
最大4800dpiの高解像度がありますので写真や文書を精細にスキャンすることができます。
自動画像補正機能
本製品は自動画像補正機能を搭載しています。
色補正や明るさ調整、ノイズ除去などを自動的に行い、高品質なスキャンを実現します。
いいとこころばかりではなく注意点もあります。
本製品はフラットベッドスキャナーですので、大量のページをスキャンする場合には、時間と手間がかかることがあります。
また、両面スキャンには対応していないため、表と裏をスキャンする必要がある場合には手作業が必要です。
CANOSCAN LIDE 400がおすすめな方
光学解像度は先ほどご紹介のエプソン GT-X830には劣りますが、それでも非常に高いですので、とにかく精細に書類をデータ保存したい方にもおすすめです。
また、販売経路によっては1万円未満で買えますので、できるだけ価格を抑えて自炊を始めたい方にはおすすめできます。
1.7kgなので持ち運び可能な重さですので外出先での作業がある方にもおすすめです。
シートフィードタイプのスキャナーですと書類によっては裁断が必要ですが、フラットベッドスキャナーは裁断の必要はありませんので、パンフレットや本などをそのままの形で残したい方にもおすすめです。
ScanSnap SV600
製品名 | ScanSnap SV600 |
特徴 | 本を傷つけたくない人におすすめ! |
発売日 | 2022年2月 |
光学解像度 | 285 dpi |
ADF | × |
読み取りタイプ | オーバーヘッド |
OCR機能 | 〇 |
両面読み取り | × |
原稿サイズ | A3/A4/はがき/名刺/レシート |
最大セット可能枚数 | – |
その他 | 補正機能が充実 |
ScanSnap SV600の特徴は以下の通りです。
ノンコンタクトスキャン
本製品はオーバーヘッドスキャナーと呼ばれるものです。
製品上部のセンサーから下に向かって情報を読み取りますので、下に置いた書類などを直接触れることなくスキャンします。
書類を裁断する必要も、スキャナーのフラットなガラス面に書類を直接押し付ける必要もありません。
そのため、本を傷つけずにスキャンすることができます。
大きいサイズも読み取り可能
本製品はA3サイズまでの大きな書類もスキャンできます。
また、スキャン範囲を自動認識する機能があるため、手動で範囲を選択する必要がありません。
補正機能が充実
スキャンの仕組み上、歪みなどは避けられませんので、書類の自動補正機能が充実しています。
歪みの補正のほか、映り込んだ手の指などを削除する機能も盛り込まれています。
その他、ページの分割機能、OCR機能も搭載されています。
注意点は以下の通りです。
本製品は、光学解像度が285 dpiとやや劣りますので、とにかく精細に書類を保存したい方には不向きです。
また、ADFはありませんので、書籍の情報を読み込ませるためにはページめくりなどの手作業が必要です。
ScanSnap SV600がおすすめな方
本を傷めずにスキャンできるという特徴がありますので、図書館の本や他人から借りた本をスキャンしたい方には本製品は有力な選択肢となります。
また、自分が所有している書籍であっても、なるべく傷つけずにスキャンして自炊したいという方にもおすすめです。
三次元の作品や大きなサイズの書類も読み取り可能ですので、お子様の絵画や図工作品をスキャンして電子データとして保存されたい方にもおすすめです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
ぜひ一緒に自炊ライフをエンジョイしましょう!
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