今回は、海外ETFのBNDについてご紹介します。
海外ETFとインデックス投資について
海外ETFとは
ETFとは、「exchange traded fund」のことで、日本語では「上場投資信託」と言います。
ETFは、複数の株式や債券などの有価証券を組み合わせてパッケージ化して1つの金融商品にしたもので、株式と同様に市場で売買ができます。
日本にもETFはありますが、その海外版なので、「海外ETF」と言います。
インデックス投資について
インデックス投資とは
インデックス投資とは、「インデックス(市場の動きを示す指数)」と同じ値動きをすることを目指して運用する投資手法のことです。
インデックスの代表例は、日経平均やTOPIX、ダウ工業株平均といった株価指数です。
インデックス投資は、投資信託でしかできないと紹介しているものもありますが、それは違います。
ETFでもインデックス投資は可能です。
インデックス投資は、市場連動型の投資ですので「あるがまま」の投資手法です。コロナショックのような全世界の株価が急落する場面や、逆に景気の急回復で株価が急騰する場合においても、人の判断で株価を売買することはありません。すべてを受け入れるのです。
とにかく人の判断を介さずに、ルールを守って、定期的に買付を行ったり、バイ・アンド・ホールド(一度買ったら手放さない)としたりすることが大事です。
投資対象がインデックスであっても、人の判断でその投資対象の商品の売買を繰り返していては、インデックス投資のメリットが薄れてしまいます。
インデックス投資が注目される理由
なぜインデックス投資が注目されているかというと「他の手法ではインデックス投資にかなわない」と言われているからです。
統計的には、人の判断で積極的に売買を繰り返す投資手法(アクティブ型)よりも、市場の波に身を委ねるだけの、あるがままの投資手法(パッシブ型・インデックス投資)の方が良いパフォーマンスになる可能性が高いことが分かっています。
もちろん、アクティブ型の投資手法の中には、インデックス投資よりも優れた成績を収めているものもあります。あくまで全体の統計・傾向の話です。
海外ETFでインデックス投資をするメリット
海外ETFでインデックス投資をするメリットは以下の通りです。
- 同じ投資対象(インデックス)であれば、運営コスト(経費・信託報酬)は、海外ETFの方が投資信託よりも安いものが多い
- 海外ETFは株と同じように市場で取引できる
- 海外ETFは配当を受け取ることができる(投資信託でも配当は生じますが、多くは再投資に回されるため実感がわかない)
同じ投資対象(インデックス)であれば、運営コスト(経費・信託報酬)は、海外ETFの方が投資信託よりも安いものが多い
海外ETFは投資信託に比べて一般的に運営コストが低い傾向にあります。海外ETFの運用規模が比較的大きいことがその理由の一つです。
世界中の投資家が買い求める大規模ETFは、原則として購入者が日本の居住者に限られる投資信託よりも大幅なコストダウン化が可能です。
海外ETFは株と同じように市場で取引できる
海外ETFは、株式市場で取引可能です。これは非常に大きな利点であり、日中いつでもETFを買いたいと思ったときに市場価格で取引できます。
一方、投資信託は、基本的に日次価格設定で取引が行われ、購入や売却に制約があることがあります。ETFは流動性が高く、リアルタイムの価格変動に応じて取引ができるため、投資家にとって柔軟性が高い選択肢となります。
海外ETFは配当を受け取ることができる(投資信託でも配当は生じますが、多くは再投資に回されるため実感がわかない)
海外ETFは、株式などの資産に関連する配当を受け取ることができます。これは、一部の投資信託でも同様に配当が発生しますが、多くは再投資に回されるため、実際に配当金を受け取る機会が限られています。
海外ETFの場合、配当金を受け取り、それを適切に活用することで、リタイアメントプランや収益を最大化するための選択肢が広がります。また、配当を受け取ることで、収益の一部を現金化し、必要な支出に充てることも可能です。
BNDとは
BNDは「Vanguard Total Bond Market ETF」のことです。
「BND」は「Vanguard Total Bond Market ETF」を市場で取引するためのティッカーシンボル(取引コードのようなもの)です。
BNDの指標(インデックス)
BNDが市場連動のターゲットとしている指標(インデックス)は、ブルームバーグ・バークレイズ 米国総合指数(Bloomberg Barclays U.S. Aggregate Bond Index)です。
BNDの特徴
投資適格とされている債券を幅広くまとめて投資対象としている
BNDは、投資適格とされている債券を幅広くまとめて投資対象としています。
その数は10,000以上です。とても個人でカバーできる数ではありません。対象としている主な債券は以下の通りです。
- 米国債
- 社債
- 米国以外の米ドル建て債券
- モーゲージ債及びアセットバック証券
上記のうち、満期償還までの残存期間が1年超のものを対象としています。
値動きは少ないが安定的な配当が期待できる
BNDは、債券のうちさらに投資適格とされたものを対象としていますので、良くも悪くも値動きは少ないです。このETFで大きな値上がりを期待することは難しいです。
圧倒的な経費率の低さ
経費率は0.03%と、破格の低さです。
100万円投資した場合の年間経費はたったの300円です。
年間配当(分配)回数
年12回です。毎月配当金を受け取る機会があります。
最終利回り(Yield to Maturity)
4.39%です。(2023年9月11日時点)
※etf.comのサイトへのリンクです。(「Yield to Maturity」を参照)
なお、最終利回り(Yield to Maturity)とは、債券を満期償還まで保有した場合における、以下の損益をまとめて1年あたりの利回りとして算出したものです。
- 受取利息(配当)
- 償還時に発生する額面と買付価格との差
値動き(チャート)
※ スマートフォンの場合は横向きが見やすいです。
どんな人に向いている?
BNDからは安定的な配当が期待できます。
配当率はさほど高くはないですが、値動きが少ないにもかかわらず安定的な配当が期待できますので、以下のような方に合っているかもしれません。
堅実に運用をされたい方
BNDは、リスクを最小限に抑えながら長期的な収益を積み重ねたい方に適しています。市場の変動に左右されにくく、資産を守りながら運用を続けることができます。
他の資産(株式、不動産など)との分散効果を狙いたい方
BNDをポートフォリオに組み込むことで、株式や不動産などのリスクを分散することができます。これにより、全体的なリスクを抑えつつ、安定的なリタイアメント資産を構築できます。
待機資金を有効活用されたい方
BNDは、長期間にわたって資産を保有するための待機資金を有効に活用する手段として適しています。銀行の普通預金などに比べ、リタイアメント資金を増やす機会を提供します。
債券型の海外ETFの注意点
債券型の海外ETFにはご注意いただきたい点があります。
このETFだけの特徴ということではないのですが、債券を対象とした投資の場合、一般的に、元本と利息(または配当)には相反関係がありますので注意が必要です。
例を挙げてご説明します。
例えば、アメリカのような先進国とブラジルのような新興国では信用力に違いがあります。
仮にアメリカ、ブラジルのそれぞれから「100万円貸してくれたら5年後に110万円にして返す」と言われたら、あなたはどちらの国に貸すでしょうか。
多くの方は、信用力がより高いアメリカに貸すことを選択すると思います。
どうしてもお金を借りたいブラジルは、以下の選択をすることになります。
- 元本を安く設定して、より魅力のあるものとする(例、95万円貸してくれたら、5年後に110万円にして返すと言う)
- 見返り(利息や配当)を高めて、より魅力のあるものとする(例、100万円貸してくれたら、5年後に120万円にして返すと言う)
いずれの場合であっても、ブラジルはアメリカに比べて信用力が低いため、同じ額を借りるために多くのコストを費やすことになります。
これが債券を対象とした投資における、元本と利息(または配当)の相反関係の概要です。
したがって、債券型の海外ETFには、一般的に次のことが言えます。
・元本の価格が上昇するとき、配当利回りは下落する。
・元本の価格が下落するとき、配当利回りは上昇する。
BNDを投資対象に組み込まれるのであれば頭に入れておくといいと思います。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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