【解説】海外ETFの配当は実際にはどれくらいもらえるの?に答えます

かなのん

今回は、海外ETFの配当は実際にはどれくらいもらえるのかについて解説します。

目次

海外ETFとは?

ETFとは、「exchange traded fund」のことで、日本語では「上場投資信託」と言います。

ETFは、複数の株式などの有価証券を組み合わせてパッケージ化して1つの金融商品にしたもので、株式と同様に市場で売買ができます。

日本にもETFはありますが、その海外版なので、「海外ETF」と言います。

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特に、最近人気なのがアメリカの株で構成されている海外ETFです。

テスラやアマゾン、アルファベット、メタ、アップルなどのアメリカを代表する企業の株がパッケージになっている海外ETFを一口数千円程度から日本の証券会社を通じて購入することができます。

海外ETFの配当の受取額を決める要素

かなのん

海外ETFの配当金がいくらもらえるのかが分かりづらいのは、複数の要素があるからです。

これらの複数の要素を一つ一つ解きほぐすことで、分かりやすくなります。

なお、ここではアメリカ(ドル建て)の海外ETFであることを前提に進めさせていただきます。

配当利回り

株価に対する年間配当金の割合です。

例えば、1万ドル分の株価がある海外ETFを保有していたとして、配当利回りが5%の場合は、単純計算で500ドル分を年間に受け取ることができます。

海外ETFの配当利回りは、証券会社のサイトで確認できます。

マネックス証券の「銘柄スカウター米国株」が分かりやすいですのでおすすめです。

(マネックス証券で口座を開設すると「銘柄スカウター米国株」を利用することができます。口座開設、「銘柄スカウター米国株」のご利用、どちらも無料です。)

調べ方をご紹介します。

ログイン後、「米国株・中国株」を選択。

「銘柄スカウター米国株」をクリック。

海外ETFのティッカーシンボル(銘柄を識別するために付けられるコード)を指定する。

(以下の画像は「VYM」(バンガード・米国高配当株式ETF)を指定した例)

対象の銘柄をクリック。

真ん中あたりに配当利回りが表示されます。

配当金の年間受け取り回数

海外ETFの配当金の年間受け取り回数は、銘柄によって異なります。

年1回、年2回、年4回などと銘柄によって異なります。中には毎月受け取ることができるものもあります。

年間受け取り額が同じであっても、年間受け取り回数が違えば、1回あたりの受取額は異なります。

1年間に12万円配当金がもらえるとして、間受け取り回数の違いで1回あたりの受取額は次のようになります。

・年1回の場合:1回あたりの受取額12万円(12万円÷1回)

・年2回の場合:1回あたりの受取額6万円(12万円÷2回)

・年4回の場合:1回あたりの受取額3万円(12万円÷4回)

・年6回の場合:1回あたりの受取額2万円(12万円÷6回)

・年12回の場合:1回あたりの受取額1万円(12万円÷12回)

なお、海外ETFの配当金の年間受け取り回数も証券会社のサイトで確認できます。

先ほどの最後の画面の続きで、中央の「配当」をクリックすると、配当履歴が表示されます。

この例(「VYM」(バンガード・米国高配当株式ETF))の場合、3月、6月、9月、12月のサイクルで配当金が支払われていることが分かります。

つまりこの場合は、年4回ということです。

中には毎月配当金がもらえるものもあります。

「VCLT」(バンガード・米国長期社債ETF)という海外ETFで見てみましょう。

ご覧の通り、毎月配当を行っています。

この時点での配当利回りは3.8%と高めです。

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現地(アメリカ)での課税

海外ETFの場合、配当金を受け取る前に、現地(アメリカ)で課税されます。

課税率は10%です。

課税分が差し引かれるため、受け取る配当金はその分だけ少なくなります。

為替レート

ドルでもらった配当金を円で受け取るときには、決まった為替レートで交換します。

この為替レートの違いによって、同じドル建ての配当金であっても、日本円での受取配当金は異なる場合があります。

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日本での課税

現地(アメリカ)で課税されたあと、さらに日本でも課税されます。

所得税:15.315%

住民税:5%

合計20.315%が課税されます。

このように、海外ETFや海外の株などからの配当収入を日本国内の居住者が得た場合は、現地 (海外) で課税され、さらには日本でも課税されてしまいます。

これを二重課税と言います。

確定申告を行うことで、条件を満たす場合はこの二重課税分の控除を受けることができます。(外国税額控除)

詳しくは以下(↓)の記事をご覧ください。

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計算してみよう!

かなのん

それでは、分かりやすい例で計算してみましょう。

ここでのご紹介は、「どれくらいもらえるのか」という概算(目安、およそ)の計算になります。

ご了承ください。

計算例

海外ETFの株価:1万ドル

配当利回り:3%

配当金の年間受け取り回数:4回

為替レート:1ドル100円

現地(アメリカ)での課税率:10%

日本での課税率:20.315%

現地(アメリカ)での税引き前の年間受け取り配当額(ドル)

現地(アメリカ)での税引き前の年間受け取り配当額は、海外ETFの株価(1万ドル)に配当利回り(3%)を掛けて計算します。

1万ドル(海外ETFの株価)×3%(配当利回り)=300ドルになります。

現地(アメリカ)での税引き前の1回あたりの受け取り配当額(ドル)

先ほどの300ドルは1年間分の配当額ですので、これを配当金の年間受け取り回数(4回)で割って、1回あたりの受け取り配当額を求めます。

300ドル(現地(アメリカ)での税引き前の年間受け取り配当額)÷4回(配当金の年間受け取り回数)=75ドルになります。

現地(アメリカ)での税引き後の1回あたりの受け取り配当額(ドル)

現地(アメリカ)での税引きの回あたりの受け取り配当額を計算しましょう。

現地(アメリカ)での課税率は10%ですので、残るのは90%分になります。

75ドル(現地(アメリカ)での税引き前の1回あたりの受け取り配当額)×90%(100%-現地(アメリカ)での課税率10%)=67.5ドルになります。

現地(アメリカ)での税引き後の1回あたりの受け取り配当額(日本円)

現地(アメリカ)で課税された後の配当額を日本円に換算しましょう。

為替レートは1ドル100円という前提でしたので、計算式は次のようになります。

67.5ドル(現地(アメリカ)での税引き後の1回あたりの受け取り配当額(日本円))×100円(1ドルあたりの為替レート)=6,750円になります。

日本でも課税された後の1回あたりの受け取り配当額(日本円)

これで終わりではありません。

さらに日本でも課税されるからです。

日本での課税率は20.315%ですので、日本でも課税された残りがようやく手元にやってきます。

6,750円(現地(アメリカ)での税引き後の1回あたりの受け取り配当額(日本円))×79.685%(100%-日本での課税率は20.315%)≒5,379円になります。

これが最終の受取額です。

※実際には、所得税15.315%と住民税5%を別々に計算するので端数処理の関係で受取額は異なる場合があります。

ざっくり計算するには?

かなのん

ざっくり計算するには、現地(アメリカ)での課税率と日本での課税率を合わせて30%で計算するのがおすすめです。

計算例

海外ETFの株価:1万ドル

配当利回り:3%

配当金の年間受け取り回数:4回

為替レート:1ドル100円

現地(アメリカ)での課税率:10%

日本での課税率:20.315%

現地(アメリカ)での課税率と日本での課税率を合わせて30%とする

現地(アメリカ)での課税率と日本での課税率を合わせて30%とすることで、計算過程を短縮できます。

計算式は次の通りです。

1万ドル(海外ETFの株価)×3%(配当利回り)÷4回(配当金の年間受け取り回数)×100円(為替レート)×70%(100%-30%(現地(アメリカ)と日本の課税率の合計))=5,250円

その前の手順での計算結果が5,379円でしたので、およそ近い数字になります。

かなのん

いかがでしたでしょうか。皆様のお役に立てる情報がありましたでしょうか。

最後までご覧いただきありがとうございました。

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この記事を書いた人

かなのんです。
ごく普通の40代サラリーマンです。
企業型DC(企業型確定拠出年金)を含めた純金融資産の評価額は1億円超の「億り人」です!
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