今回は、iシェアーズ・コア Jリート ETF(1476)について徹底解説いたします。
まずは全体像から理解しよう!
全体像から把握すると、より理解を深めることができます。
国内ETFについて
ETFとは、Exchange Traded Fund の略で、日本語では「上場投資信託」といいます。
ETFは、株式や債券などの複数の有価証券を組み合わせてパッケージ化して1つの金融商品にしたもので、株式と同様に市場で売買ができます。
日本の株式市場で取引されるETFと海外市場で取引されるETFを区別するために前者を「国内ETF」、後者を「海外ETF」と呼んでいます。
今回ご紹介のiシェアーズ・コア Jリート ETF(1476)は、国内ETFの一つです。
インデックス投資について
インデックス投資とは、特定のインデックス(市場の動きを示す指数)と連動した値動きを目指す投資方法です。
ETF(国内・海外)は、そのインデックスと同じ値動きをすることを目指して設計されています。
インデックスの代表例は、日経平均やTOPIX、ダウ工業株平均といった株価指数です。
日本のメディアの中には、インデックス投資は、投資信託でしかできないと紹介しているものもありますが、それは違います。
ETF(国内・海外)でもインデックス投資は可能です。
ご説明の通り、ETF(国内・海外)は、特定の「インデックス(市場の動きを示す指数)」と同じ値動きをすることを目指して設計されているからです。
投資信託と比較した場合の、国内ETFのメリット・デメリット
投資信託と比較した場合の、国内ETFのメリット・デメリットは次の通りです。
国内ETFのメリット
・同じ投資対象(インデックス)であれば、運営コスト(経費・信託報酬)は、国内ETFの方が投資信託よりも安いものが多い。
・国内ETFは、株と同じように市場で取引できる。
・国内ETFは、配当を受け取ることができる。(投資信託でも配当は生じますが、多くは再投資に回されるため実感がわかない)
国内ETFのデメリット
・投資信託に比べて購入方法が分かりづらい。
・規模が小さいETFだと、取引回数が少ないため流動性(≒換金性)が低いものがある。
・運営コスト(経費・信託報酬)に関して、すべての国内ETFが投資信託に対して優位性があるわけではない。
iシェアーズ・コア Jリート ETF(1476)の特徴
インデックス(市場の動きを示す指数)
iシェアーズ・コア Jリート ETF(1476)のインデックス(市場の動きを示す指数)は、「東証REIT指数」です。
東証REIT指数は、東証市場に上場するREIT全銘柄を対象とした株価指数です。
したがって、 iシェアーズ・コア Jリート ETF(1476)を購入すれば、実質的に東証市場に上場するすべてのREITをひとまとめに投資しているのと同等の効果が得られます。
東証REIT指数に組み入れられている銘柄の代表的なものをご紹介します。
- 日本ビルファンド投資法人
- ジャパンリアルエステイト投資法人
- GLP投資法人
- 日本都市ファンド投資法人
- 日本プロロジスリート投資法人
REITを一口だけ買う場合であっても、安いものは1口5万円程度から、高いものだと70万円程度かかります。
これらすべての銘柄をそろえるのは一般の個人投資家にとっては難しいですが、 iシェアーズ・コア Jリート ETF(1476)を買えばこれらをまとめて購入したのと同等の効果が得られます。
また、注目すべきは分散効果です。
一つのREITだけでも、複数の不動産を対象とした投資を行っていますので、すでに資産が分散されていることになります。
複数のREITをさらに束ねてひとまとめているのですから、相当の分散効果があります。
信託報酬率
本ファンドの信託報酬率(税抜)は0.165%と、不動産を対象としたETFの中では低い部類に属しています。(2023年9月11日現在)
※楽天証券のHPに移動します。
年間の分配回数
年間の分配回数は4回です。
つまり、3か月に一回、分配金をもらうことができます。
決算月(分配金が決められるタイミング)は次の通りです。
2月、5月、8月、11月の各9日
決算月に分配金がもらえるわけではありません。
決算月と実際の入金までにはタイムラグがあるからです。
実際の受取月は以下の通りです。
3月、6月、9月、12月
分配金の利回りは?実際の受取額は?
だいたい3%前後の分配金を受け取ることができています。
ただし、3%前後というのは、税引き前の分配金であることには注意が必要です。
実際には、分配金から20.135% (所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%)を控除した額が、個人の証券口座などに振り込まれます。
また、配当利回り3%は、年間の受け取りに換算した場合の利回りです。
実際には4回に分けて支払われますので、1回の受取額はその約4分の1ということになります。
したがって、投資した額に対する1回あたりの実質的な分配金受取額については、次の式が目安になります。
「投資した金額」×3%(配当利回り)×1/4(4分割)×0.8(100%-約20%(税金分))=1回あたりの実質的な分配金受取額
仮に10万円を投資した場合は次の通りでとなります。
10万円(投資した金額)×3%(およその配当利回り)×1/4(4分割)×0.8(100%-約20%(税金分))=600円(1回あたりの実質的な分配金受取額)
メリットは?
iシェアーズ・コア Jリート ETF(1476)には次のようなメリットがあります。
- これを買うだけで日本で公開取引されているREITにまとめて投資したのとほぼ同じ効果が得られる
- 3%前後の配当利回りが期待できる
- 経費率は東証REIT指数をインデックスとしたETFの中では比較的安い
- 年に4回配当がもらえ
- 小口(1口)から購入できる
これを買うだけで日本で公開取引されているREITにまとめて投資したのとほぼ同じ効果が得られる
iシェアーズ・コア Jリート ETFは、日本の公開取引されている多くのREITをまとめてカバーすることができます。
これは、個々のREITを選別して購入する手間を省き、多様な不動産ポートフォリオを簡単に構築できることを意味します。これにより、リスクの分散や市場全体のトレンドに追随することが容易になります。
3%前後の配当利回りが期待できる
iシェアーズ・コア Jリート ETF(1476)は、日本の主要なREITをバランスよく保有しており、それによって投資家に安定した収益を提供します。
これにより、3%前後の配当利回りを期待することができます。これは、長期的な資産成長と収益の安定性を求める投資家にとって魅力的な要素です。
経費率は東証REIT指数をインデックスとしたETFの中では比較的安い
iシェアーズ・コア Jリート ETF(1476)は、東証REIT指数をベンチマークとしており、その指数のパフォーマンスを追跡します。
さらに、このETFは比較的低い経費率を持っています。低い経費率は、投資家にとって重要な要素であり、運用コストを最小限に抑え、投資収益を最大化するのに役立ちます。
年に4回配当がもらえる
iシェアーズ・コア Jリート ETF(1476)は、年に4回の配当を提供します。
これにより、投資家は定期的な収益を享受できるため、生活費や将来の資産形成に役立てることができます。配当収入は、リスク分散の一環として投資ポートフォリオに組み込むことができます。
小口(1口)から購入できる
iシェアーズ・コア Jリート ETF(1476)は、小口投資家にとってもアクセスしやすい特徴を持っています。
1口から購入可能であり、大きな資本を必要とせずにREIT市場への投資を始めることができます。これは、初心者から経験豊富な投資家まで、幅広い層にとって利便性の高いオプションとなっています。
また、投資信託とは違って、iシェアーズ・コア Jリート ETF(1476)は株と同じように取引時間はリアルタイムで取引価格が変化します。
日々の経済状況、国内のREITの全体の値動きが瞬時に株価に反映されますので、投資のコツをつかむにはちょうどいいと思います。
デメリットは?
メリットもあればデメリットもあります。
- 景気の影響により値下がりするリスクがある
- 分配金利回りが減少する可能性がある
- 不動産固有の値下がりリスクもある(コロナによる商業用不動産の需要消失など)
- 価格変動幅も意外と大きい
- 比較的安いとはいえ、保有コスト(信託報酬)がかかる(個別のREITを購入した場合は保有コストはかからない)
- 現物不動産投資における、マンション一室、一棟のオーナーのような、大家さんにはなれない
景気の影響により値下がりするリスクがある
REITは不動産市場に密接に関連しており、景気の変動に敏感です。景気の悪化により、不動産市場が低迷し、REITの価格が下落するリスクがあります。
したがって、経済の状況や不動産市場の動向を監視し、リスク管理策を検討することが重要です。
分配金利回りが減少する可能性がある
REITは収益を配当として支払うため、不動産市場が低迷すると配当利回りが減少する可能性があります。
特に景気後退時や市場の不安定な期間には、収益の減少が配当に影響を与えることが考えられます。
不動産固有の値下がりリスクもある(コロナによる商業用不動産の需要消失など)
不動産市場には、需要と供給の変動に影響を受けるリスクがあります。
たとえば、コロナ禍による商業用不動産の需要減少は、REITに影響を及ぼす可能性があります。特定の不動産セクターに依存するREITには、そのセクターに関連するリスクが高まることがあります。
価格変動幅も意外と大きい
REITの価格は、株式市場と同様に価格変動があります。
一般的には、不動産の市場価値や金利の変動に応じて価格が変動します。価格変動幅が大きいため、短期間での大きな損失や利益が生じる可能性があります。
比較的安いとはいえ、保有コスト(信託報酬)がかかる(個別のREITを購入した場合は保有コストはかからない)
iシェアーズ・コア Jリート ETF(1476)は比較的安い経費率を持っていますが、それでも保有コストがかかります。個別のREITを直接購入する場合、購入時の手数料はかかるかもしれませんが、維持費用に信託報酬はかかりません。
現物不動産投資における、マンション一室、一棟のオーナーのような、大家さんにはなれない
iシェアーズ・コア Jリート ETF(1476)を購入したとしても、物理的な不動産のオーナーにはなれません。
つまり、マンションや商業物件の直接の所有権を持つことはできません。
現物不動産投資とJ-REITの比較についてはこちらの記事をご覧ください。
どのような投資スタイルの人に向いているの?
iシェアーズ・コア Jリート ETF(1476)は以下のような投資スタイルの方に向いていると思います。
- どちらかというと配当重視の方
- 日本のREITに幅広く分散投資されたい方
- 小口から不動産投資を始めてみたい方
- 短期的にひんぱんに売買を繰り返すのではなく、じっくりと中長期で資産運用をしたい方
どちらかというと配当重視の方
iシェアーズ・コア Jリート ETF(1476)は、3%前後の配当利回りを提供するため、配当収益を重視する投資家に適しています。
安定した現金収入を求める方や退職所得を確保したい方にとって、このETFは魅力的な選択肢となります。
日本のREITに幅広く分散投資されたい方
このETFは、日本の多くの主要なREITに幅広く分散投資できるため、リスクを分散したい方に適しています。
不動産市場のセクターや地域に関係なく、幅広いREITに投資できるので、ポートフォリオの多様性を高めることができます。
小口から不動産投資を始めてみたい方
iシェアーズ・コア Jリート ETF(1476)は、小口(1口)から購入できるため、初心者や少額から不動産市場へのアクセスを望む方にとって非常に使いやすい選択肢です。
大きな資本を必要とせずに、不動産に投資を始めることができます。
短期的にひんぱんに売買を繰り返すのではなく、じっくりと中長期で資産運用をしたい方
このETFは、中長期的な資産運用を志向する方に適しています。
短期的な売買を繰り返すのではなく、リスクを分散し、不動産市場の長期的な成長を見越して資産を運用したい方に向いています。
保有した結果はどうだった?
iシェアーズ・コア Jリート ETF(1476)についてのぶっちゃけ話です。
値動きの上下が激しい株式に比べて、ミドルリスク・ミドルリターンと評価されることもある不動産関連の投資ですが、私の経験上は全然ミドルリスク・ミドルリターンではなかったです。
コロナショックの時は、商業用の不動産を中心に将来的な不動産需要が不安視されたことで大きく値下がりしたことがあったからです。
不動産市況は株式や債券とは異なる値動きをすることがあるので、分散効果を高めつつ、安定した分配金受け取りをしたい方にはよい選択肢となるでしょう。
最後までご覧いただきありがとうございました。
ぜひ一緒に投資をしましょう!
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