今回はインデックス投資についてご紹介します。
インデックス投資ってなに?
インデックス投資とは
インデックス投資とは、「インデックス(市場の動きを示す指数)」と同じ値動きをすることを目指して運用する投資手法のことです。
インデックスの代表例は、日経平均やTOPIX、ダウ工業株平均といった株価指数です。
インデックス投資は、市場連動型の投資ですので、市場に身を委ねる「あるがまま」の投資手法です。
インデックス投資との対極:アクティブ投資について
インデックス投資との対極にあるのがアクティブ投資です。
アクティブ投資とは、投資家自らが投資商品の値動きを判断し、その売買を繰り返すことによって利益の最大化を狙う投資手法です。また、自動的にアクティブ型の投資を行ってくれる投資信託などの金融商品を購入して投資することをアクティブ投資ということもあります。
投資に対する一般的なイメージはむしろアクティブ投資の方を連想される方が多いかもしれません。
アクティブ投資では、主に「将来の値上がりを見込んで安値で金融商品購入する」、「値上がりしたときに金融商品を市場で売却する」ことを繰り返すことで利益を得ます。
相場の上昇と下落という波を見極めながらビッグウェーブを常に狙い続けるアクティブ投資はサーフィンに似ているかもしれません。インデックス投資よりもはるかに大きな利益を狙えるのがアクティブ投資です。
なぜインデックス投資が注目を集めているのか?
はっきり言って、インデックス投資はアクティブ投資に比べて地味ですし、派手なリターンが見込めるわけではありません。
それでもなぜインデックス投資が注目されているかというと「アクティブ投資はインデックス投資にかなわない」と言われているからです。
統計的には、人の判断で積極的に売買を繰り返すアクティブ投資よりも、市場の波に身を委ねるだけの、あるがままの投資手法(インデックス投資)の方が良いパフォーマンスを収められる可能性が高いことが証明されています。
大きなリターンが魅力のアクティブ投資ですが、一般的に指摘されるデメリットには以下のようなものがあります。
- 投資には勝ち負けの心理要素が絡むため、冷静な判断ができず誤った判断をしがちである
- 売買を繰り返すこと自体に多くの時間的・金銭的なコストがかかる。また、アクティブ型の投資商品は運用コストが高い
- 安いときに買い、高いときに売るといった理想的な売買をいつも繰り返すことができるわけではない
- 高いリターンを期待できる分、損失の可能性も大きくなる
もちろん、アクティブ投資を行っている一部の個人投資家や機関投資家の中には優れたパフォーマンスを出しているものもあります。インデックス投資の方が良いパフォーマンスを収められる可能性が高いというのはあくまで全体の統計・傾向の話です。
なお、私自身はインデックス投資を中心に投資を行った結果、およそ8年をかけて金融資産7,000万円に到達することができ、年間で約150万円ほどの配当金を受け取ることができています。(記事記載時点)
インデックス投資のメリット
インデックス投資のメリットは以下の通りです。
投資に向き合う時間が比較的かからない(※資産形成には時間がかかる)
国内の株の取引時間と私たちが日中に活動をする時間とはダブっています。仕事中や授業中にコソコソと株取引をしていてはいつかはバレてしまいます。また、そのような時間すらないくらい忙しい方もいらっしゃるでしょう。
なお、アメリカの株取引の時間は日本時間の夜中です。日本の深夜にアメリカ株取引に夢中になっていてはいつかは日中の活動に支障が出てしまいます。
その点、インデックス投資は、基本は対象となる金融商品を買った後はそのままですので、さほど時間を取られることはありません。
※インデックス投資の場合、投資に向き合う時間はアクティブ投資ほどではありませんが、資産形成までには時間がかかります。
コストが低額で済む
インデックス投資はコストが低額で済むこともメリットです。
インデックス投資のコストを理解するうえで避けて通れないのが「信託報酬」です。信託報酬とは、平たく言うと「インデックス投資の対象となる金融商品の運営コスト」です。
信託報酬はパーセント(%)で表されます。購入した金融商品の価格から、その率(%)に応じて自動的に信託報酬が差し引かれます。証券口座に表示されている取引価格はすでに信託報酬が差し引かれた額ですので、別途支払う必要はありません。
長期間に渡る投資ですので、コスト(≒信託報酬)の差が将来の資産形成の大きな差になります。同じ程度の投資パフォーマンスの金融商品同士であれば、コスト(≒信託報酬)が低額な方を選ぶのが賢明です。
例えば、信託報酬が2%の金融商品を100万円購入した場合、単純計算で運営コストとして2万円分(100万円×2%)が確実に差し引かれます。残りの98万で資産運用を行うわけです。仮に信託報酬が0.5%なら運営コストは5,000円ですので、残りの99.5万円で資産運用ができます。コスト面でどちらが有利なのかは明らかです。
1年間でもこれだけ差があるのですから、これが5年、10年になるとさらに大きな差になります。
信託報酬は自動で差し引かれますので日常的にいくら差し引かれたのかを意識することはありません。普段は意識をしないだけに、商品を選ぶときに信託報酬を十分にチェックすることが非常に重要になります。
値下がりの局面も資産形成のチャンスになる
インデックス投資においては、基本的には投資商品の売買を繰り返しません。その代わりに柱となるのが、定期的な追加投資です。
相場は常に右肩上がりであれば理想的ですが、実際にそのようなことはほとんどありません。全体的なトレンドとしては右肩上がりであっても、上昇と下落をジグザグに繰り返しながら、全体として次第に上昇するのが普通です。
追加投資をするタイミングが取引価格の下落時であれば、その金融商品を安く買うことができます。つまり、値下がりの局面も資産形成のチャンスとすることができるのです。
なお、一定の金額を一定の間隔で投資する手法を「ドルコスト平均法」と呼びます。
ドルコスト平均法とは、一つの投資商品を、一定の金額(例、1万円、10万円)を一定の期間(例、毎月、毎年)に分けて投資する手法です。
投資商品の価格は日々変動します。高いときもあれば安いときもあります。この値動きの変動を逆にチャンスと捉えるのがドルコスト平均法です。
いつ価格が上下するかは予想できませんので、決まった額を決まったタイミングで投資します。これには以下のメリットがあります。
- 投資商品の値段が高いときは買う分(投資信託などの口数)を少なく抑えられるので、高値づかみのリスクを抑えることができる
- 逆に、値段が安いときにはたくさん買うことができる
時間を味方につけることができる
機関投資家や専業の個人投資家は、常に投資成績を上げなければならないプレッシャーがあります。事業の存続や生活がかかっっていますので、相場が下落傾向にあっても様々な手法を駆使して利益を上げようとします。しかしながら、プレッシャーの中、冷静さを欠いて大きな損失を出してしまうこともあります。
その点、インデックス投資は、市場の動向に身を委ねながら、じっくりと投資資産の成長を狙い、そこから生み出される配当金・分配金を再び投資に回すことでさらなる成長を目指します。
なお、前述の「ドルコスト平均法」は、時間を味方につけた投資手法とも言えます。なぜなら、給料やボーナスからの追加資金の投入は時間的に分散して行われるからです。
このように時間を味方につけることができるのもインデックス投資のメリットです。
リスク分散になる
卵は一つのカゴに盛ってはいけない
「卵は一つのカゴに盛ってはいけない」という投資における格言があります。これは「Don’t put all your eggs in one basket.」の和訳です。
一つのカゴに複数の卵をまとめて保管した場合、そのカゴを落としてしまうと、すべての卵が割れてしまいます。複数の卵を別々のカゴに入れ、離して保管しておけば、一つのカゴを落としたとしても被害はその落としたカゴの中の卵だけで済みます。
したがって、「卵は一つのカゴに盛ってはいけない」は「金融資産を一つに集中させずに分散したほうがよい」という意味で使われます。投資の対象となる金融商品を一つに集中させてしまうと、その一つで大きな損失が生じた場合、取り返しがつかないことになりかねません。
インデックス投資の対象となる金融商品は、どれも特定の指数(インデックス)に連動することを目指しています。その指数(インデックス)を構成するのは複数の株式や債券が寄せ集まったものです。
例えば、TOPIXは、東京証券取引所第一部上場全銘柄を対象として、算出・公表している株価指数のことです。このTOPIXに連動する金融商品は、指数の対象となる全銘柄を丸ごと購入したのと同等の効果があります。
例えば、一つの企業に一極集中して株式投資をした場合、大きな利益を狙えるチャンスもありますが、急落や倒産の可能性もあります。かといってリスク分散のために、TOPIX対象の全銘柄を購入することは一般的な会社員にとっては不可能に近いです。
繰り返しになりますが、TOPIXに連動する金融商品を一つだけ買えば、指数の対象となる全銘柄を丸ごと購入したのと同等の効果があります。その銘柄の中の1社の業績不振、株価下落を、他の会社の躍進が補ってくれるかもしれません。このようなリスク分散効果が期待できます。
よって、インデックス投資を行うことは、「卵は一つのカゴに盛ってはいけない」という格言を守ることにもなるのです。
異なるインデックスを対象とした金融商品にも投資することでさらにリスク分散を行う
インデックス投資の対象となる金融商品を購入することでリスク分散にはなるのですが、一つの金融商品だけでは不十分な場合があります。
例えば「TOPIX(国内株式を対象)」のインデックス投資だけを行った場合で、世界経済が活発な中、運悪く国内株式だけが大きく落ち込んでしまうと、購入した商品の価格が大幅に減ってしまいます。
このような場合、海外株式や海外債券など、複数の投資タイプの商品にも分散して投資をすることで、資産全体に与えるネガティブな影響を軽減することができます。
リスク分散のためのインデックスのタイプ(カテゴリー)の代表的なものをご紹介します。
- 国内株式
- 海外株式
- 国内不動産
- 海外不動産
- 国内債券
- 海外債券
これら以外にも複数のタイプがあります。
インデックス投資のタイプ
投資信託
「定額で買える」、「定期的に買える」のが最大のメリット
インデックス投資でもっともポピュラーなのは投資信託です。「インデックス投資」=「投資信託」と紹介しているメディアすらあります。
投資信託の最大のメリットは「定額で買えること(例、毎月5,000円、1万円)」と「定期的に買えること」です。
投資信託を購入するときに、いくらで、どのタイミングで買うかを設定すれば、後は自動的に投資信託の買付を証券会社が行ってくれるので便利です。
インデックス投資を初めてされる方は、感覚をつかむためにも投資信託からスタートされることをおすすめします。
ノーロード型の投資信託なら購入手数料が無料
かつては投資信託の購入時に購入手数料を差し引かれる投資信託がメインでした。購入手数料と信託報酬の両方が差し引かれることを前提に運用をスタートせざるをえず、資産を運用したい私達にとっては大変不利な状況でした。
最近ではノーロード型と呼ばれる、購入手数料が無料の投資信託が増えてきています。顧客獲得のために信託報酬も競い合うように安くなっていますので、投資をする側にとっては大変ありがたいことです。
インデックス投資をするのであれば「ノーロード型」かつ「信託報酬が安い」投資信託を選ぶことをおすすめします。
ETF
ETFとは、「exchange traded fund」のことで、日本語では「上場投資信託」と言います。
ETFは、複数の株式などの有価証券を組み合わせてパッケージ化して1つの金融商品にしたもので、株式と同様に市場で売買ができます。投資信託との比較では以下のような特徴があります。
信託報酬が安い
一般的に、同じインデックス(指数)を対象とした商品同士であれば、ETFの方が投資信託よりも信託報酬が安いです。
海外のETFの中には、信託報酬が0.03%など、驚くほど信託報酬が安いものがあります。これはETFの最大のメリットと言えます。
投資信託は、ETFのメリットをできるだけ損ねずに、定額・定期買付などの利便性を追加した商品ですので、投資信託の方がコストがやや高いのはある意味当然と言えるでしょう。
市場ですぐに売買できる
投資信託の場合、その仕組みから、売買を申し込んでからその内容が確定するまでに数日かかります。
一方、ETFは市場で取引していますので、申し込んだその時点から購入・売却することができます。
売買手数料がかかる
ETFは、売買に手数料がかかるのが一般的です。その手数料は、対象となるETFや証券会社によって異なります。
したがって、ETFの少額の売買取引はコストが相対的に高くなってしまいます。ある程度の投資資金をまとめて一度にETFを購入することでコスト面でのデメリットを軽減することができます。
なお、最近では証券会社同士の競争により、手数料無料で売買できるETFが増えてきています。
定額・定期的な購入は不向き
ETFは、1口あたりの価格を基準に市場で売買取引をします。よって、5,000円分、1万円分だけ買うといったことはできません。
また、ETFを定期的に自動で購入するということも原則はできません。
※一部の証券会社で独自に定期買付を可能としているものもあります。
ETFの活用方法
以上から、ETFは、信託報酬が安いというメリットがある一方、利便性では投資信託に劣ります。よって、ETFを以下のように活用することをおすすめします。
- まずは投資信託で投資信託を始めて、資産が一定額になった段階でいったん売却(現金化)し、ETFを購入する
- インデックス投資を投資信託から始めてみて、感覚がつかめたところで、次の投資資金からはETFにチャレンジする
国内ETF
日本国内のマーケットで購入できるETFを国内ETFと言います。
「国内ETF」という名前から、国内ETFは日本の株式や日本の債券・不動産のみを対象としていると誤解されがちですが、そのようなことはありません。
海外の株式や海外の不動産のインデックス(指数)を対象とした国内ETFも充実しています。
私が実際に保有している国内ETFをご紹介します。
NEXT FUNDS外国REIT・S&P先進国REIT指数(除く日本・為替ヘッジなし)連動型上場投信( 2515)
このETFの指標(インデックス)は、「S&P先進国REIT指数(除く日本、配当込み)(円換算)」です。
本ETFを購入することで、先進国(日本を除く)を対象とした不動産に幅広く投資しているのと同等の効果が得られます。
上場インデックスファンド新興国債券(1566)
このETFの指標(インデックス)は、「ブルームバーグ・バークレイズ自国通貨建て新興市場国債・10%国キャップ・インデックス」です。
この指標(インデックス)では、世界新興国(中国、韓国、インドネシア、タイ、ブラジル、メキシコなど)の国債市場を対象としています。したがって、それぞれの国の国債を個別に買わずとも、本ETFでこれら対象国の国債をパッケージで投資したのと同等の効果があります。
海外ETF
海外ETFも基本的には国内ETFと同じです。国内ETFとの主な違いは以下のとおりです。
- 外国株取引用の口座開設が必要
- 海外市場に合わせて外貨(ドルなど)で売買を行う
海外ETFは、アメリカのものを中心に、信託報酬がケタ違いに安いものがあります。さすが投資先進国といった感じです。
外国株取引用の口座があれば、日本にいながら、それらの海外ETFを直接売買することができます。なお、海外ETFや海外の株などからの配当収入を日本国内の居住者が得た場合は、現地 (海外) で課税され、さらには日本でも課税されます。これを二重課税と言います。確定申告を行うことで、条件を満たす場合はこの二重課税分の控除を受けることができます。(外国税額控除)
私が実際に保有している海外ETFをご紹介します。
海外株式タイプ
VT(Vanguard Total World Stock ETF)
VTは「Vanguard Total World Stock ETF」のことです。VTの指標(インデックス)は、FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス(FTSE Global All Cap Index)です。
VT1つ買えば、全世界の株式に投資するのと同じ効果があります。(※除外地域もあります)値動きについては以下をご参照ください。
VTI(Vanguard Total Stock Market ETF)
VTIは「Vanguard Total Stock Market ETF」のことです。VTIの指標(インデックス)は、CRSP USトータル・マーケット・インデックス(CRSP U.S. Total Market)です。
VTIは、実質的に、アメリカ国内の投資可能な株式をまるごと投資対象としています。値動きについては以下をご参照ください。
VYM(Vanguard High Dividend Yield ETF)
VYMは「Vanguard High Dividend Yield ETF」のことです。VYMの指標(インデックス)は、FTSE ハイディビデンド・イールド・インデックス(FTSE High Dividend Yield Index)です。
VYMは、実質的に、アメリカの高配当企業をまるごと投資対象にしています。アメリカには高配当企業がたくさんありますが、それらの株を個別に買い集めなくとも、VYM一つで、それらの高配当企業にまとめて投資したのと同じ効果があります。値動きについては以下をご参照ください。
VOO(Vanguard S&P 500 ETF)
VOOは「Vanguard S&P 500 ETF」のことです。VOOの指標(インデックス)は、S&P500です。S&P500は、日本でいう「日経平均株価」や「TOPIX」のような株価指数です。
S&P500は、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスにより算出され、ニューヨーク証券取引所(NYSE Arca、NYSE Amex)、NASDAQに上場している銘柄のうち代表的な500銘柄から構成されています。
アメリカの超優良企業を実質的にまとめて投資可能としているのがVOOです。値動きについては以下をご参照ください。
海外不動産タイプ
RWR (SPDR Dow Jones REIT ETF)
RWRは「SPDR Dow Jones REIT ETF」のことです。RWRの指標(インデックス)は、ダウジョーンズ 米国セレクトREIT指数 (Dow Jones US Select REIT)です。
RWRは実質的に、米国において上場されているREIT(不動産投資信託)を包括的に投資対象としています。値動きについては以下をご参照ください。
海外債券タイプ
BND(Vanguard Total Bond Market ETF)
BNDは「Vanguard Total Bond Market ETF」のことです。BNDの指標(インデックス)は、ブルームバーグ・バークレイズ 米国総合指数(Bloomberg Barclays U.S. Aggregate Bond Index)です。
BNDは投資適格とされている債券を幅広くまとめて投資対象としています。値動きについては以下をご参照ください。
VCLT(Vanguard Long-Term Corporate Bond ETF)
VCLTは「Vanguard Long-Term Corporate Bond ETF」のことです。VCLTの指標(インデックス)は、ブルームバーグ・バークレイズ米国社債(10年超)インデックス(Bloomberg Barclays U.S. 10+ Year Corporate Bond Index)です。
VCLTは、実質的に、投資適格とされている、アメリカの長期社債を幅広くまとめて投資対象としています。値動きについては以下をご参照ください。
インデックス投資のポイント・コツ・注意点
ほったらかしや金融知識がなくてもいいわけではない
インデックス投資を「ほったらかしでOK」と紹介しているメディアもあります。確かに基本的にはルーティンに沿って金融商品を保有したり、買い足ししたりするだけなのですが、「ほったらかし」ではありません。
購入後の金融商品の値動きには、常に、または定期的なチェックが必要です。
国内外の株価や各種指標が日々どのように変化することを把握し、それらがどのように自分の金融資産の価格に連動していることが分かれば、自分にとってのリスク許容範囲も分かります。あまりにも自分にとって許容できない値動きをする金融商品であれば、一旦売却して他の金融商品に投資することを検討することも大事です。
また、そもそもどの金融商品を選定するかについては、ある程度の金融知識が必要です。
残念ながら、金融市場には、あなたからお金を巻き上げようと待ち構えている人がたくさんいます。何も知らないままで金融市場に飛び込むのは、素人がいきなりプロボクサーと戦うようなものです。あるいはポーカーゲームのように、カモになって丸裸にさせられてしまうかもしれません。
正しい金融知識を身につけておくことで、周りに流されない、だまされない、投資に関する自分の軸を持つことができます。正しい知識や自分の軸を持つことができれば、100メートル走で言えば、10メートル、20メートル先の地点から走り始めるのと同じくらい有利な立場に立つことができます。
何より、将来がかかった自分の大事な資産(=お金)の運用なのですから、「ほったらかし」や「不勉強」でいいわけがありません。
その他(これが一番大事かも)・・・市場から逃げず、時間を味方につける
私の場合、コロナショックのような全世界の株価が急落する場面や、逆に、景気の急回復で株価が急騰する場合においても、インデックス(指数)の変動を理由に自分の判断で保有商品を売買することはありませんでした。インデックスの結果をすべてを受け入れていました。
インデックス投資では、とにかく人の判断を介さずに、感情を排除して、ルールを守り、定期的に買付を行ったり、バイ・アンド・ホールド(一度買ったら手放さない)をしたりすることが大事です。これが簡単そうに思えて、実際にはなかなか難しいです。明らかに株価が下落しているのに売らずにいることや、株価が高値圏にあって利益確定をしたい誘惑があるのに売らずにいるのにはかなりの忍耐が要ります。
投資対象がインデックスタイプの金融商品であっても、人の判断でその投資対象の商品の売買を繰り返していては、インデックス投資のメリットが薄れてしまいます。
いつから株価が下がるのかが分からないのと同じで、いつから株価が回復するのかも分かりません。一度マーケットから退出してしまったら、次の値上がりのタイミングを逃してしまう可能性が高くなってしまいます。
「いつかは株価下落トレンドは終わる」、「株価下落中の2、3年は安く買えるチャンス」ととらえ、市場から逃げずにとどまることが重要です。
結果的に、まだ世界的なコロナ禍の2020年11月頃において、バイデン政権誕生、ファイザーのワクチン開発に伴う経済回復の期待から、アメリカや日本の株価は思いもよらないほどの速さで回復し、ベンチマークとなる株価指数はコロナ前を更新するほどになりました。
「いつ下がるか」、「いつ上がるか」は誰にも分かりません。また、人の判断で売買をすると心理的なバイアスがかかってしまいます。「いつかは上がる」、「下がることも織り込み済み」とのスタンスで市場にとどまり続けることで、指標変動の波を味方につけましょう。
運用益は再投資に回す
複利効果で資産を雪だるま式に増やす
運用益は再投資に回しましょう。
運用益には主に2つのタイプがあります。
- 投資した金融商品自体の値上がり・・・「キャピタルゲイン」とも言います。
- 投資した金融商品からの配当金・分配金・・・「インカムゲイン」とも言います。
せっかくキャピタルゲインやインカムゲインを得られても、それらをそのたびに取り崩して浪費してしまってはもったいないです。それではいつまでたってもあなたの資産は丸々と太ってくれません。
キャピタルゲインを得られてもそのままにしておき、さらなる成長を楽しみにしましょう。そして、インカムゲインを元手にさらに投資を行うことで、あなたの資産を雪だるま式に増やしましょう。
なお、運用で得た収益をさらに元本に加えて投資することによって得られる効果を「複利効果」といいます。複利効果により、利益が利益を生み、資産がふくらんでいく効果が得られます。複利効果を最大限活用することで資産増加のスピードが格段に早くなります。
投資信託によっては、得られたインカムゲインを自動的に再投資に回すことを選択できるものがあります。投資信託の選択にあたっては「再投資」ができるものを選ぶようにしましょう。
資産上昇時の「資産効果」は敵
また、行動様式の変化にも注意が必要です。資産額が上昇するにつれて、普段の金銭消費がいつも以上に派手になることがよくあります。これは「資産効果」と呼ばれるもので、株価などの資産価格の上昇(下落)が、個人消費を増加(減少)させる効果を指します。
資産額が上昇したからと言って、そのたびに豪華な食事でお祝いしたり、グレードの高い住まいに住み替えたり、新車を購入したりしていては、資産形成と消費とが相殺されてしまいます。確かにお祝いしたいときもありますが、ほどほどにしましょう。インデックス投資にとって資産上昇時の「資産効果」は敵でしかありません。
資産運用の調子がいいときも悪いときもブレずに普段の生活様式を守ることが将来の資産形成につながります。
インデックス投資以外の投資にも挑戦してみる
インデックス投資を行っていると基本的には証券口座に表示される評価額の変動を見ることが中心ですので、あまり資産増加の実感がわかずに、モチベーションが保てないこともあります。そのような場合、インデックス投資だけにかたよらずに、他の投資にも挑戦してみるのも一つです。
例えば、株主優待を実施している個別企業の株を購入することで、その企業から定期的に自社製品の提供やその他サービスの優待が受けられます。個別企業の株価から構成されている投資信託やETFをどんなに購入しても、これらの一部を構成する個別企業から株主優待は決してがもらえません。
その点、優待がもらえる企業からの定期的なプレゼント(株主優待)は投資を続けるモチベーションになります。
それぞれのメリット・特徴を理解した上で、他の投資も組み合わせることが持続的な資産形成につながると思います。
必ずうまくいく保証はない
インデックス投資は万能ではありません。以下のような弱点があります。
- インデックス(指数)が長期スパンでは右肩上がり、最低でも横ばいになることを前提としている。
- 投資先はリスクのある金融商品なので、常に損失の可能性はある。
いくら値下がりの局面も味方につけるインデックス投資でも、全体的に下降トレンドにあるインデックス(指数)を対象とした金融商品であったり、世界恐慌的な大不況から長期間抜け出せなかったりしたときは、損失が生じてしまいます。
そのようなリスク(損失の可能性)を理解したうえで、適切にリスクを分散してインデックス投資を行うことを心がけましょう。
インデックス投資をするには証券口座の開設が必要
株を買うには証券会社で口座をつくる必要あります。通常は国内株式の取引用の口座開設からスタートすることになります。今やネットでの口座開設申込書、ネット上での株取引は当たり前です。
証券口座開設についてはこちらの記事でご紹介していますのでぜひご覧ください。
毎月または毎年どれくらいインデックス投資をすれば目標に達成するのか?(外部サイトの紹介)
インデックス投資における将来のシミュレーションを行うことができる外部サイト(楽天証券)をご紹介します。
以下の切り口でのシミュレーションが可能です。
- 運用成績・・・「毎月積立額」「積立期間」「リターン」を入力することで、運用成績(=最終積立金額)を計算します。
- 毎月の積立額・・・「最終積立金額」「積立期間」「リターン」を入力することで、「最終積立金額」の達成に必要な月々の積立額が計算されます。
- 積立期間・・・「最終積立金額」「毎月積立額」「リターン」を入力することで、「最終積立金額」達成にかかる時間(=積立期間)が計算されます。
- リターン・・・「最終積立金額」「毎月積立額」「積立期間」を入力することで、「最終積立金額」の達成に必要なリターンが計算されます。
積立かんたんシミュレーションはこちら(※楽天証券のサイトに移動します)
いかがでしたでしょうか。皆様のお役に立てる情報がありましたでしょうか。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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